はやく俺のモノになればいいのに
「って、そんなことよりさぁ!」


実柑が勢いよく先生の方を向く。

先生は机に向かって何かを書いている。

デスクワークをしているようだ。


保健室の先生って、生徒の怪我を応急処置する以外も、事務的なお仕事をたくさん抱えていたりするのかな。


「ヤマトのせいであらぬ誤解を受けたんだけど!」


ヤマト――先生の名前、ヤマトっていうのか。


「私のせいで……ですか?」


呼び捨てにしているせいで、とても親しい感じがする。

本当にいつの間に仲良くなったんだろう。


「そうだよ! クズから言いがかりつけられた」


ひょっとしてクズってのは桜井先輩……?


今朝、揉めていたことを思い出す。


ハッとして先生の左手の薬指を見る。


そこにはキラリと輝くシルバーのリングが。
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