はやく俺のモノになればいいのに

消えた?

どうして――……



「俺のおかげだよー、上野ちゃん」


やってきたのは、桜井先輩。


「なんであんたのおかげなの」


実柑が疑いの眼差しを先輩に向ける。


「ファンの子に、例のアカウント管理者にDMで"該当のつぶやきを可及的速やかに非表示にしたら、もれなくみんなのアイドル桜井くんが夢のような体験をさせてくれますよ"って連絡してもらったんだ。俺の写真つきで。即効性あるでしょ? この通り」
「クズのわりに……気が利くじゃん」


実柑が悔しそうに言うと、桜井先輩が目を見開いた。


「なによ」
「いや。上野ちゃんが、やっと俺の魅力に気づいたなと思ってね」
「気が利くって言っただけ!」
「デートしてくれるよね」
「なんでそうなるの」
「だって君のトモダチ助けるために一肌脱いだわけだし」
「それとこれとは話が別」
「いつか俺に言ったよね。"ファンの躾がなってない"って。あれ訂正してくれる?」
「~~っ」
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