プリンセスストロベリーの憂鬱
隅々には小さな手作りの棚が置いてあって。

けれど何かがおかしい。


「苺が一つもない」


従姉が呟いた。

確かにあれほど好きだと、色んな苺を持っていると教えてくれていたのにその苺が一つもない。


嫌な予感がした。


「あいつまさか」


大事なものを持ち出すこと、

それはつまり


家出。


「ない。どこにもない。苺のスワロフスキーも、ヴィヴィアンの苺もANNA SUIの苺も」


従姉は娘の宝物を探すが見つからないという。
< 81 / 187 >

この作品をシェア

pagetop