白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集


「小百合のお願いでも
 ぜってえ聞いてやんねぇ」


「なんでよ……」


「だって俺

 お前のこと
 放したくねえから」



 俺がどれだけ小百合を想っているのか
 伝えたくて伝えたくて
 しょうがなくて。

 俺は一層
 小百合を強く抱きしめた。



 さっきまで
 俺から逃げようともがいていた小百合が
 腕の中で大人しくなったと感じた時、
 弱々しい声が俺の耳に届いた。



「なんでそんなことを言ってくれるの?
 泣くなんて
 私に似合わないことをしてるから?」


 まだ
 全然伝わってねえじゃん。
 俺の気持ち。


 俺は閉じ込めていた小百合を
 開放するかのように
 腕をほどいた。


 そして
 潤んだ小百合の瞳をまっすぐ見つめた。

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