白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

 龍兄たちを覗いていた時は
 ドキドキが収まってくれていたのに。


 この部屋に十環先輩と二人だけ
 ということを思い出した瞬間に
 心臓が飛び跳ねだした。



「桃ちゃんに
 ご褒美をあげる約束だったよね。
 ちょっと待っていてね」


 そう言って
 机の上に置いてある紙袋を手に取ると
 ベッドに座ったままの私のところに
 戻って来た。



「桃ちゃん、目をつぶって」


「え?」


「ちゃんと言うことを聞かないと
 ご褒美をあげないよ。
 いいの?」



 子守歌のような
 優しくて心地いい十環先輩の声。


 その声にキュンとして
 私は素直に目を閉じた。

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