白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

 十環先輩への深い思いを
 言葉にできない代わりに、
 私は無表情のまま
 十環先輩の胸に自分の頭を押し当てた。



「桃ちゃん、どうしたの?」


「顔……見られたくないから……」


 十環先輩は
 それ以上言葉を発しなった。


 その代わり、
 私が顔をあげるまで、
 何も言わずに頭を撫で続けてくれた。


 十環先輩のさりげない優しさが
 伝わってきて
 私の意地っ張りな心を溶かしていく。



 私の心が
 十環先輩の陽だまりのような優しさで
 満たされたとき、
 私はゆっくりと顔をあげた。


 そして
 心からの笑顔を
 十環先輩に向けることができた。

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