白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「私のために一生懸命作ってくれて
すっごく嬉しかったです」
言い終わって
十環先輩の顔が近すぎなことに気付き
私の心臓が爆音をあげ始めたけど。
目の前の十環先輩は
キョトンと目を見開いて
固まっている。
「十環……先輩?」
私の言葉に
輝きが戻った十環先輩の瞳。
大事なものを包み込むような瞳で
私の目を優しく見つめ続けている。
なんだろう。
この不思議な感覚。
目をそらしたいくらい
恥ずかしいのに。
大好きな瞳に
このまま見つめられていたいと
願ってしまう。
十環先輩の優しさを纏った瞳が
ゆっくりと近づいてきて。
十環先輩をもっと感じたいと思い
瞳を閉じた。
そして私の唇に
甘くとろけるような温もりが伝わった。