白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
私の強めの言葉に
切なそうな表情を見せた十環先輩。
やっと私の耳に届くほどの
弱々しい声が
聞こえてきた。
「だって……
学校中の人に……
桃ちゃんは俺だけのものだって……
知らしめたくて……」
「え?」
「だって、
もう俺は卒業して、高校にいないんだよ。
桃ちゃんに
へんな男とか近づいて来たら……
嫌だし……」
「そんなこと
あるわけないじゃないですか。
私、人を睨む癖があるし。
六花以外の前だと
ほとんど笑わないし」
「りっちゃんの前でも……
笑わないで欲しい……」
「へ?」
「だって
りっちゃんに笑いかける桃ちゃんって……
可愛すぎだから……」
十環先輩……
顔を赤らめて
『かわいすぎ』って
言わないでください。
私まで恥ずかしくて
くすぐったくて。
顔が熱くなって
きちゃったじゃないですか。