白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

 あまりに心配になって
 私はその場にしゃがみ込んだ。


 そして、十環先輩を見上げてみた。


「大丈夫ですか?」


「桃ちゃん。
 今の、他の人にやったら……
 ダメだからね……」


「そんなに痛かったですか?
 ごめんなさい。
 力、入れすぎちゃって」



「そうじゃなくて……
 とろんとした目で
 いきなり抱き着かれたら……

 さすがの俺でも……
 自分のことコントロール
 できなくなるから……」



「え?」


 いきなり
 目の前が真っ暗になって。


 この大好きな匂い。
 十環先輩だと脳が感じた時には
 優しく抱きしめられていた。
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