白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
ん? あれ?
何かおかしくない?
確かに右のページは見覚えがある。
でも、結愛さんが載っていた
左のページは
破られた後だけが残っていた。
「ベストを着てくれたご褒美は、これね」
大きな瞳が見えなくなるほど
優しく微笑んだ十環先輩。
赤いペンで囲まれている場所を見ると
ペアリングの写真が。
「姉さんにね
桃ちゃんとお揃いの物を
身につけたいって相談をしたら、
この雑誌を持ってきてくれたの。
ごめんね。
あの時、結愛さんが載っているから
俺がこの雑誌を持っているって
勘違いさせちゃって。
姉さんはね
上のネックレスの方がいいんじゃない?
って言うんだけど。
俺はやっぱり
ふとした時に目に入る
指輪の方がいいなって思って。
俺がこの指輪をプレゼントしたら、
ずっと身につけてくれる?」
「嬉しいですけど……
こんな高いもの……もらう理由が……」
「理由ならあるよ。
だって桃ちゃんが
この指輪をつけてくれれば
授業中だって、家に一人でいる時だって
指輪が目に入った時に
俺のことを思い出してくれるでしょ?」
「はい……」
「それに俺も、指輪を見るだけで
いろんな桃ちゃんを思い出して
幸せな気分になれるから」