白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
六花は斜め上を向いて
目をパチパチ。
俺の言葉をやっと理解したのか
10秒遅れで声を発した。
「えぇぇぇぇぇぇ?
ム……ムリだよ。
いっくんのベストを着て
高校に行くなんて!!」
「なんでだよ」
「だって……身長……
30センチも違うもん。
私が着たら、ダボダボだよ」
「六花に合わせて
サイズ直し、したし」
「え……でも……
真っ赤なんて、私に合わないよ」
「六花なら似合うだろ。
ほら、ちょっと前まで。
家では赤いワンピース着てたんだから」
「あれは……いっくんが
『赤城家の呪い』なんて
嘘をついていたから。
しょうがなく着ていただけだし」
「桃ちゃんは
十環のベストを着るって言ったんだぞ」
「桃ちゃんは、モデルさん並みに
綺麗な顔をしるから、
なんでも似合うもん。
それに、いっくん色のベストなんて
着て高校に行ったら
『なにあの子!』って思われちゃうもん」
「そんなこと思う奴なんて
無視すればいいだろ?」
「そんなことできるわけないじゃん。
私絶対に
いっくんのベストなんて着ないからね」
「そんなこと言うならさ、
俺があげたシュシュ、返せよ」
六花は
手のひらに乗せていたシュシュを
涙がこぼれそうな瞳で
じっと見つめた。
そして、うつむきながら
俺の手の上に真っ赤なシュシュを置いた。