白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「な……な……
なんで虎ちゃんが……?」
「入って良い?」
「嫌!
絶対に入ってこないで!」
今まで虎ちゃんに
声を張り上げるなんてなかったのに。
こんなボロボロな泣き顔を
見られたくなくて、
大きな声を出してしまった。
「そっか……
じゃあ俺……帰るから……」
入ってこないで!って言ったくせに
帰らないでと思う自分がいる。
なんて返事をしたらいいかわからない。
「もう清香になんて
会いに来ないからな」
ぼそりとつぶやくような声。
『会いに来ない』という言葉が
耳に入った瞬間
何も考えずに体が動いていた。
そして私は
5センチだけ部屋のドアを開けた。
「それは……嫌……」