白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

 見上げると
 大好きな瞳が私をまっすぐ見つめていて
 余計に涙があふれてくる。


 私は急いで涙をぬぐうと
 止められない涙を見られたくなくて
 ベランダに出られる
 大きな窓にかかったカーテンに
 くるまった。


 虎ちゃんの足音が
 私のすぐ後ろで止まった。


「清香さ、なんで隠れるわけ?」


「だって……
 虎ちゃんの顔……見たくないもん」


「そういうことかよ。
 俺の顔が見たくないくらい
 俺のことが嫌いになったってことかよ」


「違うもん」


「何が違うんだよ」


「だって……
 こんな泣き顔を
 虎ちゃんに見られたら……

 もっともっと……
 虎ちゃんに嫌われちゃうもん。
 そんなの……嫌だから……」


 私、何を言っているんだろう……


 虎ちゃんは同情から
 私と付き合ってくれていただけで。

 初めから
 好かれてなんていなかったのに。
  
 嫌われたくないだなんて。


「なんだよ、それ」


 私を拒絶するような鋭い声が
 私の耳に届いた瞬間

 くるまっているカーテンの上から
 虎ちゃんに抱きしめられた。
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