桃の華〜溺愛イケメン社長〜
「は?親父?どこの男が来てるのかと思った」

そう言って、桃田さんは自分の手で顔を隠す。

「お前、こんな良い子を疑ってたのか?」

私、疑われてたの?
もしかして、浮気相手でも連れ込んでるって勘違いさせたのかな。

「親父が何しに来てるんだよ?まさかお金借りに来たんじゃないだろうな?」

「さすがの俺でもそこまではしないさ。お金ならお前がくれるし」

「だったら華のところには来るな」

どうしてこうなっちゃうんだろう。
仲良くしてほしいのに。

「桃田さんっ、お父さんは桃田さんのことが気になって来られたんです。だからそんな言い方やめてください」

桃田さんもお父さんもお互い心配し合っているのに、どうして分かり合えないんだろう。

本当の親子なのにそんなの悲しすぎるよ。

「私は2人に仲良くしてほしいです。桃田さんもお父さんも素直になってほしいです!桃田さんもお父さんが大好きで、お父さんも桃田さんが大好きなのにどうして仲良く出来ないんですか?」

「華ちゃん…恥ずかしすぎるからもうやめようか」

桃田さんはそう言って、自分の口元わや手の平で触っている。

それは、桃田さんが恥ずかしがるときの癖だ。

「親父、資金なら出すからもう一度人生やり直せよ。いや、もう一度頑張ってる姿を見せてほしい」

「律…」

「それから、男手ひとつで育ててくれた事も感謝してる」

また桃田さんは手を口元へ持っていく。

桃田さんが素直な気持ちをお父さんにぶつけてくれている事が嬉しい。
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