桃の華〜溺愛イケメン社長〜
「桃田さんっ、生まれて来てくれてありがとうございます」

「華ちゃん、ちょっと中入ろう」

急ぐように玄関の中へ入れられると、そのままキスをされた。

「続きはまた夜だね。行こうか」

私たちはお弁当を持って家を出た。

公園で芝生の上にシートを引いて、お弁当を食べた。

そして、桃田さんに紙袋を差し出す。

「プレゼントです」

「ありがとう、開けていい?」

「はいっ」

桃田さんが紙袋からプレゼントを取り出し包装を開いていく。

「ボールペン?」

「実は私とお揃いなんです」

そう言って、鞄の中からボールペンを取り出す。

「“R&H”って律と華?」

「はいっ!イニシャル入れてくれるって言われたので入れてもらいました」

「じゃ、世界に2本だけだね。ありがとう、すごく嬉しいよ」

プレゼント選びにすごく悩んだけど、喜んでもらえて本当によかった。


シートの上に2人並んで寝転がり空を見上げる。

お弁当作りのために早起きしたせいか、お腹がいっぱいになったせいか眠気に襲われる。

「華ちゃん、俺アメリカに行くよ」

お父さんが聞いたと言う噂は本当だったんだ。

「どうしても向こうで成功させたい仕事があるんだ。半年から一年はかかるけど、月に一度は華ちゃんに会いに帰るよ」

桃田さんが遠いアメリカへ行くと思うと胸が締め付けられる。

だけど、アメリカへ行くことが桃田さんの夢なんだよね。

「出来る事なら華ちゃんも連れて行きたいけど、華ちゃんには学校もあるし、管理栄養士になる夢もある。華ちゃんの夢は奪えないよ」

桃田さんがそう言うように、私も桃田さんの夢を奪うことなんてできないよ。


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