桃の華〜溺愛イケメン社長〜
強くなります
こんなに一日一日が長いと思ったのは、人生で初めてかもしれない。

いつも頭のどこかに桃田さんがいて、目蓋を閉じても浮かぶのは桃田さんで、考えれば息すらも苦しくなる。

桃田さんと別れてから1週間以上も経つのに、いつまでこんな苦しいのが続くんだろう。


「華、顔色悪そうだけど大丈夫?」

「大丈夫だよ!ありがとう、セリナ」

セリナが心配してくれているのはわかっているけど、桃田さんと別れた事を口に出すのが怖くてまだ話せていない。

セリナもおばあちゃんも気付いているだろうけど、何も聞いてこない。

私はその優しさに甘えてしまっている。

「華、明日から修学旅行楽しみだね」

秋も終わりに近づき、明日がら修学旅行で沖縄にいく。

「うんっ!」

せっかくの修学旅行なんだし、気分を変えてリフレッシュしよう。

沖縄について、海を見るだけで桃田さんを思い出してしてしまうよ。

桃田さんと付き合っていたのは、たった半年ほどだったのに、私にこんなにも大きな足跡を残したんだね。

「ねぇ、ねぇ、アヤミンが何か撮影しているんだって!」

クラスの子がそう噂をしていて、ホテルの窓がら海辺を眺めている。

修学旅行とアヤミンさんの撮影が同時期に沖縄で行われるなんてタイミングが悪すぎるよ。

「もしかして、ホテルも一緒かな?」

薄々、私と桃田さんが別れた理由がアヤミンさんだと気付いているセリナは、みんなのように窓の外を観に行かずに私を心配そうに見てくれている。

「どうかな?でもアヤミンさんならスイートルームとかじゃないかな」

アヤミンさんに呼び出されて行ったホテルも、すごく大きな部屋だったし。

私たちが修学旅行で泊まるようなシンプルな部屋とは違う。

アヤミンさんも桃田さんも私とは違い、スイートルームとか豪華な部屋に泊まる人たちなんだよね。

せっかく沖縄でリフレッシュしようと思ったのに、また桃田さんの事を考えてしまってる。

「大丈夫だよ!沖縄、楽しむから」

心配そうに私を見つめてくれているセリナにそう言った。
< 73 / 117 >

この作品をシェア

pagetop