強引な彼と恋のマジックドライビング
オイルまみれで荒れてしまっているボロボロの指。

遅い帰宅に休日は、いずれあとを継ぐつもりの父親の店の手伝い、まるで周りの女の子たちと生活が違う私を心配した母が

「ねぇ朝陽、お母さん朝陽に車ばかりいじってないでもう少し女らしくしてもらいたいのよね。
お見合いしてみない?
好い人が……」

そんなことを言ってきて、お見合いなんて冗談じゃない!そう思った私は、母の言葉を遮るように思わず嘘をついていた。

「いるから!いるから彼氏!
会社の人と付き合ってる!
けっ……結婚して一緒にうちのお店継いでくれるっていってるから…」

私の言葉に母はぱあぁっと途端に顔を輝かせ

「あらっ!
そんな結婚の話まででてるような人いつのまに作ってたのよ。

名前は?」

「れっ…蓮司って言うの。
今、彼、本社営業所勤務の優秀なメカニックで忙しいからなかなかデートとか出来なくって」

「そうなの?
じゃあ仕事が少し落ちついたら遊びに連れてきてね」

「うっうん…わかった」

咄嗟についた嘘に、困って泣きつけばきっと蓮司は笑って利用させてくれるって思ってた。

だけど……。

2年間の蓮司の片想いが実ったのはそれからすぐだった。

『朝陽っ!!やったぞ!
蓮見さんと付き合うことになった』

そんなメッセージが私の携帯に届き

『やったじゃん!!
蓮司、おめでとう!』

すぐに送った返信画面はみるみる涙で霞んで見えなくなった。

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