強引な彼と恋のマジックドライビング
休みの度に、お洒落して私は夜遅くまででかけるようになった。

姿のない恋人と出掛けているように両親に振舞い、一人で映画を見て…こじんまりとした独りでも居心地のいいフランス料理店で夕飯を食べるのが私の休日の過ごし方になっていた。

ほとぼりが覚めたら

「蓮司とは別れちゃった」

両親にそう告げるつもりだった。

蓮見さんと付き合いだした蓮司は、同期会にも顔を出さなくなり、付き合って半年で入籍した。

スピード婚に子供が出来たのかと周りは騒いだが

「好きすぎて四六時中一緒にいたくて早く俺のモノにしたかったんだ」

久しぶりにきた同期会で、幸せそうに笑い結婚の報告をした蓮司に自分の分身を失ってしまったようで苦しくて胸が痛くて…辛すぎて…泣くことが出来なかった。

吐き出せない、言葉に出来ない想いが胸の中につかえて…蓮司の結婚式の前に退職しようと心に決めた。
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