からふる。~第7話~
「ごちゃごちゃ言ってると口を塞ぐ。分かったか?」



な、な、な、なんと...。


しょ、初対面のカラスくんに...キス...されちゃった。



「あわわわ...」


「おい、何慌ててんだよ。もしかして初?」



こくこく頷く。


言葉なんて出ない。


最悪だ。


あぁ、もう...最悪だ。


ファーストキスが、


こんな、


こんな、


黒づくめのカラスくんなんて...。



「実はおれも。いやぁ、いい練習になったよ」



練習?


練習って何?


意味不明。



「今の感じで桃喜ぶと思う?」



桃って誰?


私実験台にされたの?


うわぁ、もう何この人。


お願い。


早く1人にして。


関わりたくない。


ショック過ぎて泣きそう。



「おい、なんとか言え」


「か、悲しい...」


「は?」


「悲しいです。ファーストキスがあなたの練習に使われて」



もうダメだ。


涙が出てきた。


全部が全部この人のせいじゃないと思うんだけど、涙が溢れて止まらなかった。



「あ、あのさ...ごめん。マジでごめん」



私を抱き締めようとしたカラスくんの腕を私は右手で払った。



「これも練習なんでしょう?」


「別にそんなんじゃ...」


「どけて下さい。私...部屋に戻るので」



泣きながら掃除なんて出来ないよ。


心を整理したい。


ぐちゃぐちゃになってしまったから。


閉じたはずの蓋が開いてしまったみたいだから。



「どけて下さい...」


「あれ?さーやちゃん?」



こ、この声は?


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