桜田課長の秘密
期待に胸を膨らませる私に、桜田課長の冷たい笑みが向けられた。

「君の仕事ぶりは、以前から買っていたんですよ。作業は正確で速いし、感情で動くようなところもない」

こにきてまさかの一発逆転、正社員にしてくれるとか!?

グイと身を乗り出すと、イヤそうに体を引かれる。

「なんですか、その嬉しそうな顔は。言いましたよね、解雇予定だと」

「ガックリ」

「擬音を口に出して落ち込むのはやめてください。ちなみに田中さんの件は、解雇とは関係ありません」
「じゃあどうして」

「問題は夜のお仕事ですよ」

ジーザス!
 
副業はしないという条件でここに派遣されている。にも関わらず、こともあろうか週5でキャバクラ勤務をしているんだから、これはもうダメだな。

「なるほど……それがバレちゃあ仕方がありませんね」

観念した私に向かって、残念そうに息が吐き出された。

「やはり本当でしたか」

は? その反応はもしかして――

「カマを……かけたんですか?」

「匿名の投書があったので、まさかとは思ったのですが」

ああ、どうして認めてしまったんだろう。

自分の犯した大失態に、全身の力が抜けていく。

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