桜田課長の秘密
＊ ＊　＊

庶務課の無責任課長に頼まれた、経費削減の冊子。
これは明日、午前中の会議で使うので、退社の２時間前。１６時までに上げれば最終チェックもできる。

桜田課長に渡された、１００名分のアンケート回答用紙。
集計と内容のピックアップは、１５時までに仕上げなくてはいけない。

領収書の締めもあるので、急ぎの物を抜き出して……

メモ用紙に優先順位を書き出しながら、少しづつ怒りが湧いてくる。

先ずは、ハイエナ軍団。
ネイルの品評会をする暇があるなら、領収書の一枚でも処理してくれないだろうか。

ふたつ目は、主任がうっとおしいこと。
先ほどから、なにか言いたげに見てくるが『なんですか』と聞くと『なんでもない』と、もじもじしている。

普段はなにを言われてもニコニコしている私だ。
不機嫌を隠さない様子に戸惑っているのだろうが、知ったことではない。

そして最大の怒りはシジミ。
２課の個室に入った瞬間、嫌な予感がしたんだ。

リストラが主な仕事だけあって、５名しかいない課なので、仕方がないと言えばそうなのだけど。
全員出払っているのか、室内には桜田課長だけだった。

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