桜田課長の秘密
ひとりになった途端。
先ほど見てしまったものに、あらためて震えた。
侮っていた――――
彼が持つ、人を飲み込んでしまうほどの色気。
それは、例えるなら歌舞伎の女形のような……
男性が女性らしさを纏うことで生まれる、不均衡なバランス。
そういった、危うさの上に成り立っているのだと思っていた。
なのにっ!
「作家のくせに、なんで鍛えてんのよおっ!」
叫んだ途端に、はす向かいに位置する仕事部屋から『どうかしましたかあ』と、間延びした声が聞こえる。
『なんでもありません』と叫び返して、ノロノロと着替えに取り掛かった。
ダサメガネ、ダサダサメガネ、ダサメガネ……
呪文のように唱えつづけ。
脳裏に浮かぶ、筋肉質な上腕の影を追い払った。
先ほど見てしまったものに、あらためて震えた。
侮っていた――――
彼が持つ、人を飲み込んでしまうほどの色気。
それは、例えるなら歌舞伎の女形のような……
男性が女性らしさを纏うことで生まれる、不均衡なバランス。
そういった、危うさの上に成り立っているのだと思っていた。
なのにっ!
「作家のくせに、なんで鍛えてんのよおっ!」
叫んだ途端に、はす向かいに位置する仕事部屋から『どうかしましたかあ』と、間延びした声が聞こえる。
『なんでもありません』と叫び返して、ノロノロと着替えに取り掛かった。
ダサメガネ、ダサダサメガネ、ダサメガネ……
呪文のように唱えつづけ。
脳裏に浮かぶ、筋肉質な上腕の影を追い払った。