幼なじみの彼とわたし
「あら、今日はやけに素直じゃん?」

「そうかなぁ。いつも遥ちゃんはカッコいいって思ってるよ?」

そう、いつも思ってる。
ただ自分からは言わないだけで。
聞かれたら、嘘つく理由もないから、ちゃんと肯定はする。


「あ、時間になったみたい。行こう」


奥さまのウェディングドレスはとってもキレイで。
モーリーのタキシードも似合ってて。
笑いあり涙あり。
幸せいっぱい愛いっぱいの本当に素敵な式だった。


その二次会。


お手洗いに出て帰ってくると、さっきまで一緒にいた麻ちゃんやいずみんは、遥ちゃんたちのところにいた。

わたしも行こうかな、と行きかけたところで、知らない男性に声をかけられた。


「守本の同期の子でしょ?ちょっと話しようよ。ダメ?」


誰だろう。


「え、えーっと…、あの…」

なんて答えるのが正解?


そんな答えに迷ってる間に「何飲む?」と聞かれ、「あ、オレンジジュースで」と反射的に答えてしまう。


「アルコールじゃないの?」

「オレンジジュース好きなんです」

アルコールは飲めるけど、あまり強い方ではない。

その男性は「そっか」と言いながら、自分はビール、わたしにはオレンジジュースを渡してくれる。


「急に声かけたから警戒してる?」

目の前の男性はわたしの顔をのぞきこむように見てくる。

よく見ると、ちょっとたれ目で口角がきゅっと上がってて、全然悪い人には見えない。
むしろ、とてもかんじがよさそうな雰囲気だ。

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