幼なじみの彼とわたし
「あ、いや、そんなことはないですけど…、びっくりはしてます」

そう答えると、その男性は、ふふっと笑った。
笑顔が似合う人だなと、ふっと思った。


「じゃあ、自己紹介するね?俺は森田悠季(もりたゆうき)。守本の大学の同級生だから、君ともタメかな。森田と守本で出席番号が前後で仲よくなったんだ。趣味はサッカー。小学校から高校までずっとやってたよ。あと何か聞きたいことある?」

サッカーやってたんだ、遥ちゃんと一緒、と思っていると、森田さんは「血液型とか出身地とかもいる?」とにこっと笑いながら聞いてくる。


「あ、いえいえ、大丈夫です」

慌てて頭と左手をブンブン振って断る。


「そんなに頭振ると気持ち悪くなるよ?…で?」


で?
頭を傾げていると

「自己紹介、して?」

あぁそっか、自己紹介ね。


「高森亜衣紗です。モーリー、あ、守本くんとは同期で同じ会社で働いています。あとは、、、」

趣味とか?趣味っていう趣味ないんだよね。
生年月日とか?
何しゃべったらいいんだろう。


「亜衣紗ちゃんね。ぴったりの名前だね。彼氏は?」

名前にぴったりとかあるの?
ってか、彼氏?


「いないですけど」

わたしをのぞきこんでた森田さんの顔がぱっと明るくなった気がした。
いや、気のせいかも。


「いないの?かわいいのに?僕もフリーだから一緒だね」

「あ、そ、そうなんですね。一緒ですね」

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