幼なじみの彼とわたし
守本の結婚式後初めて亜衣の手料理を食べに行く。
久しぶりだ。

普段はぼぅっとしているのに、亜衣の手料理は絶品だ。
俺の好物ばっかり作ってくれるし。


「亜衣、今日もごちそうさま」


必ず目を見て言うようにしている。
感謝の気持ちは相手の目を見て、ってことで。


亜衣はいつもその瞬間にとても嬉しそうな顔をする。
その顔を見るのも楽しみのひとつだ。


今日も夕飯を食べ終わって片付けをしたあとテレビを見ていたら。


「今週の金曜日、森田さん…モーリーの大学の同級生の人ね、この前結婚式にいた、その人とごはん食べに行くことになった」

なんて報告をしてくる。

あの茶髪男か。
会うのはこれが初めてっぽいけど、茶髪男は亜衣を狙ってるんじゃないか、俺はそう思っている。


でも、俺と亜衣はただの幼馴染み。
俺にそれ以上の感情があるとしても、今のこの関係じゃ止める権利はないよな。


いずみも一緒だと安心なんだけど、行かないとなると吉田にガードさせるか。
吉田は外見はかなりいい女なのに、少し鈍感だからな。


「いずみんは彼氏いるから男の人がいるごはんはダメでしょ?」


そういうところは気がつくらしい。


「まぁそうだな。好きな女が他の男と食事するなんていい気はしないな」


一般的な意見のように言ってはみたが、これは俺の気持ち。

“好きな女が”を強調しながら、亜衣の目をしっかり見て言ってみたけど、本人は気がついていなさそうだ。


あぁ、イライラする。
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