幼なじみの彼とわたし
その週末、一人で冷静になるとわたしの頭の中はこの“失恋の会”のことばかり思い出していた。


『彼氏作らないのも、今の会社に就職したのも同じ人のためで、その人のためにいつもごはん作ってあげてるってことでいい?』


ふふ。
思わず笑いがこぼれる。


大学は学力が足りなくて、一緒の大学なんて到底ムリだった。
お母さん経由で遥ちゃんの就職希望先を知って、どんな会社かあまり調べずにダメ元で就職試験受けたっけ?
ほんと必死だったな。

料理は大学の夏休みに遥ちゃんが帰省していたときに「何か作ってよ」ってうちに来て。
その時は料理はあまり得意じゃなかったから、苦戦しながらオムライスを作ってあげたんだ。
そしたら、「おいしい!」って食べてくれて、それが本当に嬉しくて。
もっともっとおいしいって言ってほしいって思った。


ぎゅっとまとめてくれたけど、まさに藤木さんの言うその通りだ。


あとはこの言葉。


『じゃあさ、亜衣紗ちゃんは、森田がつきあって、って言ったらつきあえる?』

『ずっと一緒にいたい、とか、自分の何かを犠牲にしてでもその人のために何かしてあげたい、とか。そんな人はいる?』


森田さんは本当にいい人だと思う。
空気を読みとるのがうまくて、盛り上げ上手で。
告白されてはないし、森田さんもそんな気はないとは思うけど、もし告白されたら…


悩んだだろうな。
もしかしたら、受けてたかも。
最初は少し引いたけど、話してみると森田さんは好印象だ。


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