【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。
「ドキドキしただろう? 三浦の声を耳元で聞きながら――三浦にされているような気分にでもなったか」


ほんと、信じられない……!


「キス以外のことはされたくないって言ったよね」

「貴様の意見など聞いていない」

「……え」

「耳を傾けるとでも思ったか? 付け上がりおって」


すごく


「呼べばよかったな」


――……怒ってる


「貴様を喰っているところを。あの男に見せつけてやればよかった」

「どうしてそんなに怒っているの?」


ううん、ちがう。


「……泣いているの?」

「バカか。悪魔は泣かない」

「え?」

「そもそもに。悲しみや嬉しさといった感情で涙を流すのは。ヒトだけだ」
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