【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。
この人、普通じゃない。
動きを奪い刃物を向けてくるなんて、異様だ。
絶対に、抵抗しちゃいけない。
「亜子、怖すぎぃー」
「そんなことないしー。洗礼ってやつよ、セ・ン・レ・イ♪ 可愛くなったら、あたしたち、王子ファンの仲間入りさせてやってもいいかなって」
「なるほどねぇー」
「まぁ……可愛くなれたらの話だけど。なれるわけないけど」
「ひっどーい! 最低!!」
そんなことを言いながら、笑っている。
恐怖で、声も、出ない。
セロの悪魔になった姿を見た時とはまた違った恐怖。
人はこれほどまでにも醜くなれるものなのだろうか。