【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。


せっかくなので、パーク内を少しぶらつくことになった。


「どうして、みんなの前で話さないの?」


こんなに話せるのに。

それに、表情だって、ほんとは豊かなのに。


「無口なのより。今のユキちゃんの方が、ずっといいと思うけどな」


すると、ユキちゃんはため息をついた。


「誰の前でも素でいられるわけじゃないから」

「え?」

「柚月の前だから、こうして話したくなるだけ」

「ああ、たしかに昔話は……盛り上がるよね!」

「……んで」

「ユキちゃん?」

「なんでしっかり捕まえとかねーんだよ、あいつ」


……あいつ?

捕まえるって、なんのこと?


「なぁ、柚月」

「うん」

「王子のものになんて、なんな」
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