Keeper.ll



『時友も相当早いはずなのにこれを上回ってくるんでしょ?』

「そういうことになりますね。」

『もう、凄い以外の感情が湧かないのよ。』


端の方でグダグダと喋っている間に、相澤の番も過ぎ去り残りはアンカー同士の争いとなった。

A組は走り出しは時友のおかげで順調だったが中盤バトンミスがあり3位になった。それでもビリにならなかったのは、出だしの走りが良かったからでないのかと思う。

帯刀も永富も、千歩ももちろん私も残念ではあったけれど。それを2位にまで引っ張ってきたのが相澤だった。

長い足を利用した大股気味な走り方は、一見もたついて見えそうなのにそんなことはなかった。

『あの人のあんな真面目な顔初めて見たわ。』

「そうかもね〜。意外と表情豊かだからね。喧嘩でもそんなに真顔にならないよ。」

「えっ、そうなの?」

驚くのは千歩、確かにお姫様なら安全のために部屋とかにいるのだろうし他の人の戦い方知らないよね。

それにしても永富はよく見てるんだな。

『周りみてるってことは結構余裕なの?』

そう言うと永富はへへんっと胸を張って笑う。

「僕強いからね!それに親衛隊長でもあるから常に周りを見ておかなきゃ。誰がどこにいてどんな戦況かね!律も参謀だし同じようなことやってても不思議じゃないと思うよ〜。」
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