Keeper.ll
だから警戒していない素振りを出していながらも腹の底ではしっかりと周りを見ているのだ。
だけど夏川は分かっているのだろうか?名前も顔も悪い意味で有名にならなければ……こいつは強い、逆らってはいけない……と思わせるほどに有名にならなければ、一緒に歩いているだけでは牽制にはならないのだ。
多分、何も考えていない何も警戒していない十勝と、千歩が歩いていたとしよう。だけれど十勝は神龍の総長だという名前も顔も役職も有名だ。
そんな奴に挑む人はいないだろう。いるだけで、牽制になるのだ。
まぁ、十勝と千歩が堂々と一緒に歩いていたら、余程女遊びが激しくて取っかえ引っ変え連れ回していると言う状況じゃぁない限り、大切なお姫様だ、と千歩は認識されてしまうことになるのだけれど。
それもそれで危ないけどね。
角が見えてくる。
2人はまだ話している。夏川は話し上手なのか、千歩もとても笑っている。
その時、ふと。本当に何気なく、カーブミラーを見た。
何かが、動いた。
いや、でもそんなわけないだろう。第1、気を配っていたのに気配を感じなかったのだから。
前の2人に視線を戻す。
うん、2人とも気がついていない。どこからつけてきた?
歩いて、角を曲がったら。曲がっても、気配が消えなかったら。