Keeper.ll
ふっ、と息をひとつ零す。さぁ、逃げなければならない。いや、違う。
____逃がさなければならない。
千歩を、夏川を。私ひとりで、雑魚10人と化け物1匹から、2人を。
囲まれているのは前後。横にはまだ逃げ道がある。もしも囲まれたとしても夏川に突破してもらうしかない。
とりあえずこの真ん中の大男を退けなければ。私に注意を惹き付けられるだろうか?
『千歩、夏川。』
小声で呼びかける。
『逃げろ。』
「えっ、」
「は?」
キョトンとしたような顔をする夏川。何故?
「あんたが千歩さん引いて逃げろよ!ここは俺が……!」
『あんたには無理だ!とりあえず私が隙を作るからその間に逃げて。あとはできるならば十勝か相澤に伝えて。出来れば時友がいる時だとなお良い。
分かった?』
「は、なんで、」
『私が、あんたより、強いから。』
「あ?でも2人で戦った方が!」
イライラしてくる。なんでこいつこんなに馬鹿なの?
『なんのために2人いると思ってんだ!1人がオヒメサマを引き連れて逃げるため、もう1人が戦うためだろうが!!!』
思いっきり睨めば少し怯んだような顔をする。
千歩も戸惑っていたけど、腹を括ったようだ。
『千歩、』
「うん、」
『時友に襲われたこと、伝えてね。』
「分かった。里香ちゃん、ありがとう。」