Keeper.ll
希望さんの所へ行かなきゃ。霧雨 薄…と言ったっけ?そいつのことについて調べてもらいたい。あと正体についても。
「ほーらよッ!」
『ツッ…、』
いなすには余りにも油断していたので、腕で飛んできた拳を防ぐ。いや重い。痛い。シンプルに言ってめちゃくちゃ痛い。
『チッ、』
大丈夫、折れてはいないから。
「もう1発、行くよォ?そぉーれ!」
そう、男が、足を振り上げる、はずだった。
『…は?』
「あーあ。」
なんとも形容し難い様なドロドロとした音楽が鳴る。
私には何が起こったのか分からないけれど、霧雨は何かを察したようで振り上げかけていた足を地面に下ろした。
その隙を見て、後ろに下がって距離を取る。
霧雨がポケットをゴソゴソと探し回っていたけれどそんなに大きさはないだろう。何をやっているのか。
この隙に蹴りの一髪でも喰らわせようか…、いや、多分反撃される。相手は身長がある分射程距離が広いから迂闊に近づくのは怖い。
私はアタッカーよりもディフェンス型なのだ。
霧雨はやっと目標物を見つけたようで顔を輝かせた。謎の音楽はまだ続く。
「あったァ!」
『はいはい、良かったね…って、携帯?』