Keeper.ll
言われてみれば独特の機械音がなっていた気がする。
それにしてもこいつ敵が目の前にいるって言うのに電話するなんて不用心すぎないか?いや、私の場合は相手が手を出してきたから応戦しただけであって自分から出そうとは思わないが。
「全く、なァに〜?」
そう言って電話に出た霧雨を視界の端に止めながら、そっと周りを見渡す。
逃げるにはどこの道を通ってどんな動きをすれば的確か。どれが一番効率的か。
武器になりそうなものはないか。自分が使うにしても、使わないにしても、相手に取られてしまうのだけは避けたいから。
先程まで伸びていた霧雨の下っ端達はまだ気絶している。そんなに強く殴ったか?あるいは、霧雨が怖くて動けないのか。
とりあえず端の方を見て、ここから逃げようと目安となる道を決める。
「はァ〜い、了解〜」
ピッと電話を切った霧雨が私の方へと向き直る。構えた私に対してつまらなさそうな顔をした目の前の男は1つ 舌を打った。
「俺もう帰らなきゃ。呼び出されちゃったァ。」
退屈そうに伸びをした霧雨はいきなりそう告げた。永富はいないし〜時間掛けすぎって怒られちゃった、可愛くもないのにお茶目に告げた目の前の男に私はどうやって反応したら良いのだろう。