Keeper.ll
「紫陽…!」
『……!?わっ、びっくりしたー』
完全に霧雨が見えなくなるまで気を抜かずに張っていたせいで、後ろから聞こえてきた仲間の声に驚いた。
「りかちん!?大丈夫!?」
「里香さんッ!!」
『あれ、永富に帯刀。委員会終わったの?』
振り向けば後ろから、相澤に永富、帯刀が走ってきた所だった。
振り返った私に対して3人が顔を青くする。
「紫陽、オマッ…(お前)、怪我してるじゃねぇか!!」
『え?ああ、うん。殴られて。』
「なんでそんな呑気なんだよ!ほら、とっとと帰るぞ!……、助けるの遅くなって悪かった。大丈夫か?」
『平気よ。だって私戦闘員だし。』
そう返答すれば相澤は少しモヤっとしたような顔をした。
「そんなん関係なく、怪我すりゃ痛いだろ。他に怪我は?」
『……特には。』
当たることもなかった。だけど、当てることも出来なかった。避けるのに、必死だったから。
「強くなりてぇなぁ。」
『え?』
自分の声が出たのかと思った程にちょうどなタイミングだったから驚いた。
「なんだよ。」
片眉を釣りあげていかにも変なやつを見るような目で見てくる。いきなりそんな言葉が出るとは思わなかったから。