Keeper.ll



確かに全身緊張していたせいで体が固くなっている反面、アドレナリンが出ているせいで痛むのは頬くらいのものだ。


これからどうなるかは分からないものの今のところはそんなに痛くない。

『ん…?あっ、』


思わず発した声に、場が凍る。


「どうした?まだ怪我があったのか?」


威圧半分、心配半分の十勝は情緒不安定にも思える。なぜ、喧嘩なら怪我がつきものでしょう。そこまで心配しなくてもいい気はするが。


『いや、確かさっき殴られたの腕で受け止めたんだよね。骨に問題はないけど結構重かったから……』


「輝」


「ああ、分かった、待て」


相澤が冷凍庫から持ってきた保冷剤をタオルにくるみ私の腕をめくる。


「うわ〜酷いなこれ、」


誰が漏らした言葉だったか。腕が青黒くなっている。


『まぁ、そのうち治るでしょ…と言いたいとこだけど体操着半袖だと見えるか…?湿布でもしておけばいいか。』


手首と肘の中間の当たりだから隠すには長袖の体操着が必要だろう。


十勝が悲しそうな顔をしている。本当によく表情がコロコロと変わる男だ。


「ごめんな、怪我させて。」


『何を謝ってんの、喧嘩すれば傷ができるのは当たり前でしょう?それに千歩は怪我ないんだし。』

「ありがとう、里香ちゃん。里香ちゃんが守ってくれたおかげだよ。」


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