Keeper.ll
この空間のむず痒さに肩をすくめる。だってヒーローじゃないんだから。大したこともしていない、当たり前のことを英雄のように感謝されるのは性にあわない。
『別に大したことじゃないから。私のポジションが幹部の誰か別の人であったとしても同じ行動をとるはずだよ。』
千歩は私の考えてることを悟ったのか、分からないけれど優しく微笑んだ。
『時友、』
霧雨薄…誰なのか、どこのどいつなのか、裏で手を引いている奴がいるのかを調べてもらいたい。それに最後の笑顔…なんか既視感があるんだけれど誰だったかが思い出せない。
「……上でしようか、」
その言葉に頷く。
『まだ内容も確定していないからね、余計な混乱は招きたくない。けど、これだけは伝えておく。十勝、』
「なんだ?」
ここは幹部室ではない、1階だ。すなわち下の子たちもここにいる。その子たちが出歩いても神龍だとバレない限りは安心だけれど、待ち伏せしてくるような輩だ。
闇討ちに合いました、という報告を受けてからじゃあ遅いだろう。
『やっぱいいや、混乱させるだけになるし。上に行こう。』
「ああ。俺たち幹部も遭遇してない組は把握ができていない。ある程度情報がまとまったら話すからお前らは少しその場で待っていてくれ。」
幹部室に入る。それを緊張した面持ちで見送るみんなの顔に何故か笑えてきてしまった。
Kのメンツは一人一人が強かったからか、自分の力に誇りを持っている輩が多かった。だからみんな好戦的だったのだ。
扉に手をかけて、いつもの所へと座る。全員が座ったのを確認してから、口を開いた。
『一つ一つ、情報を確認していきたい。』