Keeper.ll
パンッと何かが弾けるような音がした。それが突然目の前で手を叩かれたのだと理解するまでに数秒を有する程には思考が沈んでいたのだろう。
顔を上げたら希望さんが呆れたような顔でこちらを見ていた。
「私を目の前にして思考の波に捕われるってどういうこと?」
『おはようございます、希望さん……
その女王様キャラは…なんです?』
「だってそうじゃない?私せっかく会いに来たのに」
そう言ってしくしくと泣き始めた希望さんをぼんやりと見ながら、ああそう言えばこの人に呼び出しをされたからここに来たのだということを思い出した。
呼び出しとはいっても、来ちゃった!と語尾に星がつくようなテンションで言われるくらいのこと。だけど今のテンションじゃ星はつかないだろうな。
よよよ、しくしくと泣いている希望さんに頭を掻く。
何ぼんやりとみているのよ、と頭を叩かれた事実に『泣き出したのはあなたでしょう、』と返したところ「何よ今日は冷たいわね」なんて流された。
「何を見たのかは知らないけれど、それは後で聞くわ。今は体育祭でしょう?しかもあなたは初めての参加なのよ。」
『どこからその情報知ったんですか…』
「そんなのちょちょっと調べただけよ。それよりもほら、背筋を伸ばして!殺気を隠す!あなたに今課せられているのは何があっても体育祭を楽しむこと。
__いい?ちゃんとなさい、里香。」
バチン、と気合いを入れるように叩かれた背中の痛みに思考がハッとする。
『うっ…、はい…!』