カッコウ Ⅱ
孝明は最後の朝

『これからは大翔がママと悠翔を守るんだよ。』と大翔に言った。

だから大翔は我儘も言わずに我慢した。

悠翔の面倒もみた。

孝明が帰ったときに褒めてほしかったから。
 

「お兄ちゃん、泣かないで。」

静かに泣きじゃくる大翔に悠翔は言う。
 
「ハルはいいの?もうお父さん、帰って来ないんだよ。何で平気なんだよ。」

大翔は泣きながら悠翔を責める。
 
「だって。仕方ないよ。」

いつになく強い口調の大翔に驚いて、悠翔の声も小さく滲む。

目を擦りながら顔を上げると、悲しそうなみどりと目が合う。
 
「お母さんなんか嫌いだ。」

大翔は声を上げて泣きじゃくった。
 
 



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