カッコウ Ⅱ
帰り道、車の中で大翔は、
 
「お母さん、俺、お父さんと会っているんだよ。」

と言って、またみどりを驚かした。
 
「えー。なんで。」みどりが聞くと、
 
「俺が“あの人”のことで悩んでいた時、哲ちゃんがお父さんに連絡してくれたの。」

大翔の返事にみどりは、
 
「もう、哲也はいつも余計なことして。」

と不満気な声で言う。
 


「俺、お父さんに救われた。俺の父親は、お父さんだけだよ。」

大翔は強く言う。
 
「だってお父さん、もう再婚しているんでしょう。」

みどりは今の孝明を知らない。
 
「お父さんの家族とも仲良しだから。俺、お父さんみたいな大人になるんだ。だから、まずは同じ大学に入るよ。」

大翔の明るい声にみどりは胸が熱くなる。

あの時の大翔を救ったのが、孝明だったなんて。

そして今も孝明は、大翔の心を導いている。
 


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