カッコウ Ⅱ
「ヒロ、今もお父さんと会っているの?」

みどりは聞かずにはいられない。
 
「うん。月に一度くらいね。俺がお父さんちに行っているって知ったら、祖父ちゃん達不審に思うだろう。だから黙っているよ。」

大翔の思いやりにみどりは目を見張る。

大翔が茂樹のことを知っていると、祖父母に知らせない為に大翔は黙っている。

大翔の優しさと強さは孝明そっくりだとみどりは思った。
 

「お母さんも、今度は医者でも見つけて再婚しなよ。」

みどりは今、試験に合格して隣町の総合病院に就職を変えていた。
 
「何言っているのよ。」

みどりが無愛想に答えると、
 
「本気だよ。俺もハルも、もう大丈夫だから。遠慮しなくていいよ。」

大翔の言葉にみどりは涙汲む。
 
「馬鹿ね。」と答えて。


< 143 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop