神楽先生はそんなに甘くない。
思い出してもドキドキする。漆黒の黒髪に、冷たそうな瞳。低めの落ち着いた声。
記憶の中のどこをとっても神谷先生のそれで。
目の前で香帆が「また妄想タイム始まった...」と深いため息をついたのが聞こえた。
「ていうかさ、今日まだ入学2日目じゃない?どこでその先生と会ったのよ。まさか遠目で見ただけとかじゃないよね?」
「よくぞ聞いてくれました...!!!」
ずっと言いたかったです、それ。
私と先生の漫画のような運命の出会いの話。
香帆が聞くんじゃなかったっていう顔をしているのは気付かないフリをして、私は嬉嬉として語り出した。