あの空に手を伸ばして



お母さんとは会話することなくわたしは次の日学校へと向かった。

「美咲っち!!大丈夫だった?」

どうやら噂はすごく広まっているらしい。

「赤池くんも黄田くんも青島くんも停学になったったしさ。鬼頭くんは肩刺されて入院したっていうし」


そのときふと廊下で話していた女子2人の会話がよみがえった。

――「ねえ、きいた?鬼頭くんの噂」

――「なんか今日学校にきてないらしいんだけど、その理由が喧嘩ふっかけられて逃げてるかららしいよ」


鬼頭ってサクの苗字だったんだ。

わたしはそんなことも知らなかった。

あれだけ一緒にいたのに、サクのこと本当になにも知らない。


わたしは無性にサクに会いたくなって教室を飛び出した。
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