eternal〜守りし者〜
『……優し過ぎた…?』


『……店先に客の居ない団子屋が、椅子の上に団子を置くか?蕎麦屋が何故入り口に1番近い席に客を通さず握り飯を置く?』


空我はハッとした。


『鈴はその優しさに触れた。だから泣きながら走った。』


『……鈴も…分かっていたんですね…。』


『……遠い昔の話だ。』


そう言って笑う佐護路が、以前より表情が柔らかくなった様に思えた。


『随分白髪が目立って来ましたね師匠。』


『何?俺を年寄り扱いするのか?』


『いえ。でもご無理はなさらず…。』


『それを年寄り扱いと…お主、段々大吾に似てきたの…。』


『ありがとう御座います。』


『褒め言葉では無いッ!まこと似てきたな。』


空我は佐護路と戯れ合う様で笑顔が止まらなかった。


団子を買い、鰻屋に向かうと焼き上がるのを待った。


『空我…もしあのまま…鈴が目覚めなかったとしたら…殿はどうなっただろうなぁ…。』


『……え?』


『鈴の前で、"もういつ死んでも悔いは無い"と1度でも己の死を受け入れた殿を見て、俺は身体が固まった…。』


『………………。』


『鈴が目覚めなんだら…殿は後を追うのでは無いかと、そんな事すら過った…。こんなに夜明けが遠い朝は無かった…。お前が殿のお側に付いて居てくれた事、誠感謝する。』
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