Bitter Sweet
君がいなくなってから

慌ただしい日々

「陽の川高校から来ました、木崎咲良といいます、24歳です、科目は数学ですよろしくお願いします」


水輪拓成高校に転任してきた私を含め15人の先生方が挨拶をする。


この高校は陽の川高校よりも偏差値が高く、しかも私立のためセレブな生徒も通っているらしい。


学科は文学歴史学科4クラス、数学理系学科4クラスの1クラス20名全8クラスで1学年が構成されている。



生徒1人1人に徹底的に教えるために1クラスの人数を3年前に減らして、定員も大分減らしただとか。


確かに1クラスの人数が少ないほど細かく教えられるし、授業も進みやすい。


私はたぶん理系のほうだな…数学教師だから。


と思いながら、いかにもどこかの大富豪の妻って感じがする女性の教頭がすらすらと担当発表をしていく。


「……2年6組担当、木崎咲良先生、副担任は十坂航(とさか わたる) 先生です」


まさかのいきなり担任。


なんてこった、せめて副担任だと思ったのに、担任だとは……


副担任の十坂先生は身長低めで眼鏡かけてて高校生だったら間違いなく地味な男子と言われるような見た目をしている。


「それじゃ、任命式を行います」


任命式の後、学年会議。


「今年は2年生は修学旅行もありますが、志望校決定のために、一丸となって頑張らなければいけません、成績を伸ばすのは2年のうちです、生徒も頑張らなければいけませんが、先生方も頑張りましょう。」


刻々と学年会議が進んでいく。


学年主任の話すスピードが早くメモが追いつかない。


会議後、隣のデスクの副担任の十坂先生が、これ大まかな1年間の内容書いてあるから足りない分木崎先生の資料に書いた方がいいよ。と言われメモを書き足していく。


「ありがとうございます、十坂先生」


「俺、去年は1-7の副担任してたから1年のことは大体把握してるから分からないことあれば聞いて」


「ありがとうございます」


蓮斗と同じ学年を持つことになった私。


生徒を蓮斗と写して見ないように気を引き締めて頑張らなければ。
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