ノクターン

智くんは 荷物をまとめに自分の部屋に行き、私はお母様と二人になる。
 

「麻有ちゃん、仕事は続けるの?」
 
「はい。そのつもりです。いいですか?」

逆に私が聞く。
 

「もちろんよ。麻有ちゃんが、大変じゃなければ 辞める必要ないわ。」
 
「智くんにも、協力するって言ってもらえたので。しばらくは、続けさせていただきます。」
 

「今は、女の人が家にいる時代じゃないでしょう。社会に出て色々経験する事が、智之の力にもなると思うわ。」
 
「そんな。私、たいした仕事してないので。でも辞める事は、いつでもできるから。」
 

「そうよ、せっかく良い会社に入っているんだもの。」

お母様は 温かい笑顔で言う。
 



智くんのご両親は寛大で。

私達の自由を尊重してくれる。


でも、それは そっくり私達の責任の重さ。

しっかりしなければ。

智くんの奥様として、恥ずかしくないように。
 

「私、本当に良くして頂いて。これからは智くんと力を合わせて お父様とお母様に安心していただけるような 家庭を作ります。」
 

「ありがとう、麻有ちゃん。でも、そんなに固く考えないで。自然でいいのよ。私達にも遠慮なく頼ってね。」

お母様の深い愛情に 私の胸は熱くなる。
 

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