ノクターン
27

幸せな、温かい時間。


私の仕事の話しや、軽井沢の話しをしていると 奥から赤ちゃんの泣き声が聞こえて。

 

「ああ、起きた、起きた。」

と言って お姉様が 奥に行く。


しばらくして、赤ちゃんを抱いて戻ってくる。
 


「わあ、可愛い。樹君。」

私があやすと、樹君は ニコッと笑ってくれる。
 

「えー。この子 人見知りが始まって、初めての人に泣くのに。」

とお姉様が驚く。
 

「可愛い。お父様に似ていますね。樹君。」

私の呼びかけに 声を立てて笑う。
 


「樹も、麻有ちゃんに ぞっこんなんじゃないの。」

お兄様の言葉に みんなが笑う。
 


「抱かせてもらっていいですか。」

と私が抱いても 樹君はご機嫌で。

足をバタバタさせて喜んでいる。
 


「可愛いでしょう。人生観が変わるわよ。」


樹君を抱く私に お姉様は言う。
 


「親のありがたさも わかりますよねえ。パパ。」

とお母様は、樹君のほっぺを突く。
 

「本当に。ありがとうございます。」

とお兄様は、やっぱりムードメーカーだった。


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