ノクターン
「みんなで 夕食食べに行きましょう。」
お母様の提案に 私達は喜んで頷く。
お母様は、中華レストランの個室を予約する。
「お父さんも 合流できるって。ゆっくり歩いて行きましょう。」
樹君をベビーカーに乗せて、みんなで渋谷方面に歩く。
温かい家族。
余裕があるから、優雅で。
私のことも、何の偏見も持たずに 受け入れてくれる。
智くんに選ばれたというだけで。
この素敵な家族の為に、私にできる事は なんだろう。
ベビーカーを押すお兄様と、並んで歩く智くん。
その後ろを 3人の女性が 笑いながら付いていく。
幸せ以外、何も感じられない私。
智くんと、その家族への感謝が 冬の街を暖かく感じさせていた。