ノクターン

私は今まで 付き合った人を受け入れた時に 果てたことがなかった。


体を重ねることは 好きではなかった。



いつも 相手の反応を冷静に見ていたし、

早く終えることばかり 考えていた。
 


智くんと結ばれた時、私は 最初から上り詰めてしまった。

心が繋がれば 繋がるほどに、体の歓びが 深く強くなっていく。



自分がこんな風になるとは思っていなかった。
 

「智くん、私を 淫らだと思わないでね。」


激しく果てた後の 気怠い甘さの中で智くんに言う。
 


「思う訳ないよ。俺も同じだから。今まで こんなにした事ないんだ。こんなに次々、欲しくなるなんて。麻有ちゃんが初めてだから。」


やっぱり智くんと私は、合せ鏡。
 


「麻有ちゃんと会えなかった16年分を 取り戻しているんだよ。」

智くんの言葉に、私の体は また熱くなっていく。
 

「怖いの。どんどん気持ち良くなっていくの。すぐに欲しくなってしまうの。」


それでも抑えきれずに、唇を重ねてしまう。
 

「大丈夫。一緒だから。麻有ちゃんが欲しい時は、俺も麻有ちゃんが欲しいんだよ。」

智くんの言葉に、私は熱く俯く。


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