ノクターン

帰り際、お父様は 私に封筒を手渡した。
 

「サイパン、行くんだって。お小遣いだ。何か、好きな物を買いなさい。」
 

「えっ。そんな。」と戸惑う私に、
 


「いいのよ。貰ってあげて。お父さん、娘にお小遣いあげるのが 夢だったの。」

とお母様に言われる。


智くんを見ると、笑顔で頷いていた。
 


「ありがとうございます。本当に。」




私は、ご両親の温かさに 声が震えた。
 

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